大学院国際協力研究科では、2026年9月11日(金)、世界銀行西部・中部アフリカ地域総局人間開発リージョナル・ディレクターのトリーナ・ハーク博士、世界銀行高等教育グローバルリード兼上級教育専門官のロベルタ・バセット博士をお迎えし、「Investing in Higher Education for Development: Facts, Trends, Challenges & Opportunities for Africa」をテーマとしたセミナーを開催しました。
セミナーでは、アフリカを中心とする開発途上国の高等教育をめぐる現状と課題、そして今後の可能性について、さまざまなデータや事例をもとに紹介がなされました。世界の高等教育人口は今後大幅に増加し、2040年には世界の高等教育学生の82%が開発途上国で学ぶと予測される一方、サブサハラ・アフリカの高等教育総就学率は9.4%にとどまっており、高等教育へのアクセスには依然として大きな地域間格差が存在することが示されました。続いて、高等教育への投資が社会・経済の発展に果たす役割について説明がありました。特に、低・中所得国では高等教育の賃金収益率が高いことに加え、高等教育を受けた女性の労働市場への参加率が高いことや、高等教育がデジタル技術をはじめとする新たな技術の導入・活用を促進する役割を果たしていることが紹介されました。一方で、高等教育の急速な拡大に伴い、教育の質の確保、労働市場のニーズとカリキュラムとの乖離、財政負担など、さまざまな課題にも対応する必要があることが指摘されました。
さらに、今後の高等教育政策を考える上では、「雇用(Jobs)」「AI・テクノロジー(AI & Technology)」「公正性(Equity)」の3つの観点が重要であることが強調されました。「雇用(Jobs)」については、大学と雇用者が教育プログラムを共同で設計することに加え、インターンシップや課題解決型学習、卒業生の進路把握など、教育と労働市場との接続を強化することの重要性が示されました。「AI・テクノロジー(AI & Technology)」については、専門分野を問わず学生のデジタル能力を育成するとともに、オンライン・ハイブリッド教育やデジタルインフラを活用することで、教育機会をさらに拡大していく必要性が説明されました。また、「公正性(Equity)」については、経済的支援や入学制度の改善、第一世代の大学進学者への支援などを通じて、高等教育へのアクセスだけでなく、学業を修了する機会も含めた教育上の格差を縮小していくことの重要性が示されました。
今回のセミナーは、高等教育への投資が個人の雇用機会や所得の向上にとどまらず、社会・経済の発展や技術革新にもつながることを学ぶとともに、急速に変化するアフリカの高等教育をめぐる課題と可能性について理解を深める貴重な機会となりました。